キャラクター設定とは?作り方と項目一覧・書く順番【記入例つき】
キャラクター設定(キャラ設定)とは、小説や漫画の創作キャラについて「何を望み、何に阻まれ、物語を通してどう変わるか」と、読者が見分けるための外見や口調をまとめたものです。作り方は、ゴールから逆算する次の5ステップです。
- ゴール:物語の終わりにどうなっているか
- スタート:最初はどんな状態か
- 葛藤:何が変化を阻むか(内面の壁)
- 役割と関係:物語の中での立ち位置と、ほかのキャラクターとの関係
- 外見・口調・細部:見分けのつく特徴を2〜3点、口調、そのほか必要な項目
まずは下の「最初に埋める8項目」がそろえば書き始められます。残りは書きながら足していきましょう。
- 記入欄つきの表をすぐ使いたい人 → キャラクター設定表テンプレート(PDF・Excel・Word、コピペ用テキストつき)
- 交流用・イラスト用のオリキャラを作りたい人 → オリキャラの作り方(キャラを掘り下げる30の質問つき)
キャラクター設定は何のために作る?
キャラクター設定は、書く自分のために作ります。役に立つ場面は主に3つです。
| 場面 | 設定がないと起きること |
|---|---|
| キャラクターに選択をさせるとき | 「このキャラならどうするか」が決まらず、展開の都合で動かしてしまう |
| 連載が長くなったとき | 瞳の色、呼び方、過去の出来事が途中で食い違う |
| キャラクターが増えたとき | セリフや反応が似てきて、誰が話しているかわからなくなる |
この3つに効くのは、外見の細かさより「目的」「葛藤」「口調」です。だから項目を埋める順番が大切になります。
キャラ設定の項目一覧
最初に埋める8項目
主要キャラクターなら、まずこの8項目を埋めます。
| # | 項目 | 何を書くか |
|---|---|---|
| 1 | 名前・年齢・立場 | 本名と呼ばれ方、物語開始時点の年齢、職業や所属 |
| 2 | 物語での役割 | 主人公・ライバル(敵役)・師匠(導き手)・相棒・ヒロインなど |
| 3 | 性格(キーワード3つ) | 性格を表す3つの言葉と、それが同居している理由を一文で |
| 4 | 目的 | 表の目的(本人が口にする目標)と、本当の願い |
| 5 | 葛藤 | 変わることを阻む内面の壁 |
| 6 | 最初の状態 → 最後の状態 | 物語の始まりと終わりでどう変わるか、一行ずつ |
| 7 | 外見の特徴 | 遠目でも見分けがつく特徴を2〜3点 |
| 8 | 口調・口癖 | 実際のセリフを一つ。一人称・二人称(相手の呼び方)、語尾、敬語の使い方も |
必要に応じて足す拡張項目
長編、群像劇、漫画などで情報が足りなくなったら、次の項目から必要なものだけ足します。
| ブロック | 足す項目 |
|---|---|
| 基本情報 | 誕生日、性別、身長・体格、所属の詳細 |
| 外見 | 髪・目・肌、服装の傾向、トレードマーク(傷・アクセサリー・癖) |
| 内面 | 価値観・譲れないもの、長所、短所・弱点、恐れているもの |
| 背景 | 出身地・育ち、家族構成、過去の決定的な出来事、秘密(誰が知っているか) |
| 人間関係 | 主要な関係(いまの距離感)、敵対・確執(相手側の言い分) |
| 物語上の役割 | キャッチコピー(本の帯に載せる一文) |
8項目は、次のテキストをコピーしてメモアプリなどに貼ればすぐ使えます。
名前・年齢・立場:
物語での役割:
性格(キーワード3つ):
目的(表/本当の願い):
葛藤:
最初の状態 → 最後の状態:
外見の特徴:
口調・口癖(一人称/二人称/セリフ):
拡張項目を含む24項目の書き方と記入例は、キャラクター設定表テンプレートの「項目の解説」にまとめています。
キャラ設定の作り方:ゴールから逆算する5ステップ
設定表を上から順に「名前・年齢・外見……」と埋めていくと、前半はすぐ埋まるのに、「葛藤」や「変化」の欄で手が止まりがちです。物語を動かすのは後半の欄なので、順番を逆にして、ゴールから逆算して作ります。ここではこれを逆算設定法と呼びます。
ステップ1:ゴール(物語の終わりにどうなっているか)
一文で書きます。物語が終わるとき、このキャラクターはどうなっていますか?
- 復讐を誓った人 → 執着を手放せるようになった人
- 誰も信じない人 → 人に頼れるようになった人
- 自分に自信がない人 → 自分の力を受け入れた人
ここが思い浮かばないときは、そのキャラクターが物語の中でどんな役割を担うのかが、まだ固まっていないサインです。探偵や導き手のように本人が変わらないキャラクターもいますが、その場合はほかの誰かを変える役割を持たせます。
ステップ2:スタート(最初はどんな状態か)
ゴールから逆算して、そこへたどり着く必要がある人物像を決めます。
- 執着を手放せるようになった人 → 最初は「肉親を奪われ、力で取り返すしかないと信じている」
- 人に頼れるようになった人 → 最初は「幼いころに裏切られ、誰にも近づかない」
スタートとゴールの距離が変化の大きさになります。遠すぎると説得力がなくなり、近すぎると物語が薄くなります。
ステップ3:葛藤(何が変化を阻むか)
ここで書くのは本人の内側にある壁です。外の敵は物語の障害、内側の壁がキャラクターの葛藤にあたります。
- 執着を手放せるようになった人:復讐を手放したら、過去の痛みはどこへやればいいのか
- 人に頼れるようになった人:信じて、また裏切られたらどうするのか
ゴール・スタート・葛藤の3つが決まれば、キャラクターの芯はできています。
ステップ4:役割と関係
次に、物語の中での立ち位置を決めます。
- 主人公の目的を阻むのは誰か
- 主人公の別の可能性(同じ傷を持ちながら違う道を選んだ人)は誰か
- 主人公の葛藤を揺さぶるのは誰か
役割はほかのキャラクターと並べて決めると、同じ役割のキャラクターが重なるのを防げます。
ステップ5:外見・口調・細部
最後に、年齢・外見・特技・口癖などを埋めます。外見は見分けのつく特徴を2〜3点選べば十分です。「左頬に傷のある銀髪の男」のように短く書ける特徴は、場面の中で何度でも使えます。
口調は、ステップ1〜3で決めた内面とつながるように選びます。人を寄せつけないキャラクターなら短い文で話す、自信のないキャラクターなら語尾を濁す、といった具合です。一人称(私・僕・俺・あたし・わし)、二人称(あなた・君・お前・あんた)、ほかのキャラクターの呼び方(呼び捨て・さん付け・あだ名)だけでも人物像と距離感が大きく変わるので、ここで決めておきます。
ほかのジャンルでの例(ステップ1〜3)
| ジャンル | ゴール | スタート | 葛藤 |
|---|---|---|---|
| 異世界ファンタジー | 仲間に背中を預けられる | 追放され、「ひとりで強くなるしかない」と思っている | また役立たずと切り捨てられるのが怖い |
| 学園・恋愛 | 好きなものを好きと言える | 周りに合わせて、趣味を隠している | 本当の自分を見せたら、居場所をなくすかもしれない |
記入例:逆算設定法でひとり作る
5ステップで作ったキャラクターの記入例です。「最初に埋める8項目」を逆算設定法の順に並べ、ゴールとスタート(8項目の「最初の状態 → 最後の状態」)を分けて書いています。人物はこの解説のための創作です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゴール(ステップ1) | 「書くことは誰かを傷つける。それでも書く」と引き受けられるようになる |
| スタート(ステップ2) | 「事実だけを書けば、誰も傷つかない」と信じている |
| 葛藤(ステップ3) | 真相を書けば、十年前に自分をかばってくれた恩人を告発することになる |
| 役割(ステップ4) | 主人公。恩人の元消防団長が、目的を阻む相手であり、もう一人の主人公でもある |
| 名前・年齢・立場 | 久遠 透(くおん・とおる)、29歳、地方新聞の記者 |
| 性格(キーワード3つ) | 几帳面・皮肉屋・お人よし。人を信じたいから、確認せずにはいられない |
| 目的 | 表:十年前の工場火災の真相を記事にする/本当の願い:火災の夜に逃げた自分を許したい |
| 外見の特徴 | 右手中指のペンだこ、いつも同じ紺のブルゾン、テープで留めた眼鏡のつる |
| 口調・口癖 | 一人称は「僕」、相手は「あなた」と呼ぶ。「確認させてください」が口癖で、丁寧語の語尾に皮肉が混じる |
| 秘密(拡張) | 火災の夜、現場にいた。誰にも言っていない |
この設定表を読んで最初に伝わるのは、「彼がどこへ向かうのか」です。外見と口調は、ゴールや葛藤を作中で自然に表現できるよう、逆算して選んでいます。
設定を本文で表現する:説明せず、行動とセリフで書く
設定表に書いたことを、地の文でそのまま説明すると読者には残りません。「几帳面」と書く代わりに、几帳面な人がその場面でとる行動を書きます。
| 設定表の項目 | 説明で書くと | 行動とセリフで書くと |
|---|---|---|
| 性格:几帳面 | 久遠は几帳面な性格だった。 | 久遠は取材メモの日付の横に、時刻を分単位で書き足した。 |
| 性格:皮肉屋 | 彼は皮肉を言う癖があった。 | 「確認させてください。あなたの『絶対』は、何回目の絶対ですか」 |
| 秘密:火災の夜、現場にいた | 彼は火災の夜のことを隠していた。 | 焼け跡の写真を渡されたとき、彼は日付の欄だけを見なかった。 |
設定表の項目ごとに、こうした具体的な行動や仕草を一つ考えておくと、本文を書くときに迷いません。
ジャンル別に足す項目(小説・漫画)
ジャンルや媒体によって、8項目に足しておきたい項目が変わります。
| ジャンル・媒体 | 足す項目 | 理由 |
|---|---|---|
| ファンタジー・異世界もの | 種族・スキルや能力・能力の代償、世界の中での身分 | 能力に代償がないと、どんな危機も能力で解決できてしまう |
| ミステリー・サスペンス | 秘密の時系列(重要な時点で実際に何をしていたか) | 情報をどの順で読者に見せるかを管理するため |
| 恋愛 | 相手に欠けているもの・自分に欠けているもの、愛情の示し方 | 二人が惹かれ合う理由と、すれ違う理由の両方になる |
| 群像劇 | 危険や裏切りに直面したときの反応 | キャラクター同士の描き分けを確かめるため(下の対比表) |
| 漫画 | シルエット、髪型、三面図、表情、配色 | 角度や表情が変わっても同じ人物に見えるようにするため |
漫画の設定画(三面図・表情集・配色)は、キャラ設定画・三面図の描き方で詳しく解説しています。ファンタジーなど世界観から作る作品は、先に世界観の枠組みを固めてから、その世界に合わせてキャラクターを作ると矛盾が出にくくなります。
設定が増えたら:矛盾チェックと相関図
キャラクターが5人を超えると、設定同士の食い違いや、似たキャラクターが出てきます。次の3つで整理します。
キャラクター対比表で描き分けを確かめる
同じ状況に置いたとき、キャラクターごとに反応が違うかを表で比べます。
| キャラA | キャラB | キャラC | |
|---|---|---|---|
| 危険に直面したとき | 正面から立ち向かう | 回り道を探す | 逃げる |
| 裏切られたとき | 怒って報復する | 冷静に理由を探る | 自分を責める |
二人のキャラクターがどの行でも同じ反応をするなら、片方を作り直すか、一人にまとめるサインです。
内面の矛盾を一つ持たせる
主要キャラクターには、相反する性質を一組持たせると立体的になります。この矛盾は、読者が惹かれるギャップにもなります。
- 表向きはクールだが、人の目をとても気にしている
- 自信満々にふるまうが、内心は自分を疑っている
長所には代償をセットにしておくと、完璧すぎるキャラクターを避けられます。賢いが傲慢、優しいが決められない、勇敢だが無謀、という具合です。
相関図と「いまの状況」を更新する
人間関係が込み入ってきたら、相関図にまとめます。作り方はキャラ相関図の作り方とキャラクター関係表のテンプレートを参考にしてください。
設定表に「いまの状況」のメモ欄を作り、「いま物語の中でどんな立場にいるか」(追われている、正体を隠している、主人公と決裂中など)を書いておくと、話数をまたいでも食い違いにくくなります。一話書き終えるたびに、目的・葛藤・状態がずれていないかを見直しましょう。長編でのキャラクター設定の崩れ方と防ぎ方は、長編連載でキャラクター設定が崩れる理由とキャラ崩壊の防ぎ方にまとめています。
LitMemo では、キャラクターごとにカードを作って設定をまとめ、それぞれの関係性を相関図で一覧できます。
よくある失敗
- 設定ばかり作って本文を書かない:設定表は書くための道具です。8項目がそろったら書き始めて、足りない項目は書きながら補いましょう
- 完璧なキャラクターにしてしまう:欠点や弱みのない完璧なキャラクターには、読者が感情移入する隙がありません
- どのキャラクターも作者に似てしまう:自分と価値観が違うキャラクターを一人は作ってみましょう。対比表で反応が自分と同じになっていないかも確かめられます
さらに読む
- 記入欄つきの表で作る → キャラクター設定表テンプレート
- オリキャラを一から作る → オリキャラの作り方
- 漫画の設定画を描く → キャラ設定画・三面図の描き方
- 作ったキャラクターで物語を組む → プロットの書き方
- 名前に迷ったら → 小説キャラの名前辞典
- キャラクターが多い長編 → 群像劇のキャラクター整理術
