キャラクター設定とは?作り方と項目一覧・書く順番【記入例つき】

キャラクター設定(キャラ設定)とは、小説や漫画の創作キャラについて「何を望み、何に阻まれ、物語を通してどう変わるか」と、読者が見分けるための外見や口調をまとめたものです。作り方は、ゴールから逆算する次の5ステップです。

  1. ゴール:物語の終わりにどうなっているか
  2. スタート:最初はどんな状態か
  3. 葛藤:何が変化を阻むか(内面の壁)
  4. 役割と関係:物語の中での立ち位置と、ほかのキャラクターとの関係
  5. 外見・口調・細部:見分けのつく特徴を2〜3点、口調、そのほか必要な項目

まずは下の「最初に埋める8項目」がそろえば書き始められます。残りは書きながら足していきましょう。

キャラクター設定は何のために作る?

キャラクター設定は、書く自分のために作ります。役に立つ場面は主に3つです。

場面設定がないと起きること
キャラクターに選択をさせるとき「このキャラならどうするか」が決まらず、展開の都合で動かしてしまう
連載が長くなったとき瞳の色、呼び方、過去の出来事が途中で食い違う
キャラクターが増えたときセリフや反応が似てきて、誰が話しているかわからなくなる

この3つに効くのは、外見の細かさより「目的」「葛藤」「口調」です。だから項目を埋める順番が大切になります。

キャラ設定の項目一覧

最初に埋める8項目

主要キャラクターなら、まずこの8項目を埋めます。

#項目何を書くか
1名前・年齢・立場本名と呼ばれ方、物語開始時点の年齢、職業や所属
2物語での役割主人公・ライバル(敵役)・師匠(導き手)・相棒・ヒロインなど
3性格(キーワード3つ)性格を表す3つの言葉と、それが同居している理由を一文で
4目的表の目的(本人が口にする目標)と、本当の願い
5葛藤変わることを阻む内面の壁
6最初の状態 → 最後の状態物語の始まりと終わりでどう変わるか、一行ずつ
7外見の特徴遠目でも見分けがつく特徴を2〜3点
8口調・口癖実際のセリフを一つ。一人称・二人称(相手の呼び方)、語尾、敬語の使い方も

必要に応じて足す拡張項目

長編、群像劇、漫画などで情報が足りなくなったら、次の項目から必要なものだけ足します。

ブロック足す項目
基本情報誕生日、性別、身長・体格、所属の詳細
外見髪・目・肌、服装の傾向、トレードマーク(傷・アクセサリー・癖)
内面価値観・譲れないもの、長所、短所・弱点、恐れているもの
背景出身地・育ち、家族構成、過去の決定的な出来事、秘密(誰が知っているか)
人間関係主要な関係(いまの距離感)、敵対・確執(相手側の言い分)
物語上の役割キャッチコピー(本の帯に載せる一文)

8項目は、次のテキストをコピーしてメモアプリなどに貼ればすぐ使えます。

名前・年齢・立場:
物語での役割:
性格(キーワード3つ):
目的(表/本当の願い):
葛藤:
最初の状態 → 最後の状態:
外見の特徴:
口調・口癖(一人称/二人称/セリフ):

拡張項目を含む24項目の書き方と記入例は、キャラクター設定表テンプレートの「項目の解説」にまとめています。

キャラ設定の作り方:ゴールから逆算する5ステップ

設定表を上から順に「名前・年齢・外見……」と埋めていくと、前半はすぐ埋まるのに、「葛藤」や「変化」の欄で手が止まりがちです。物語を動かすのは後半の欄なので、順番を逆にして、ゴールから逆算して作ります。ここではこれを逆算設定法と呼びます。

ステップ1:ゴール(物語の終わりにどうなっているか)

一文で書きます。物語が終わるとき、このキャラクターはどうなっていますか?

  • 復讐を誓った人 → 執着を手放せるようになった人
  • 誰も信じない人 → 人に頼れるようになった人
  • 自分に自信がない人 → 自分の力を受け入れた人

ここが思い浮かばないときは、そのキャラクターが物語の中でどんな役割を担うのかが、まだ固まっていないサインです。探偵や導き手のように本人が変わらないキャラクターもいますが、その場合はほかの誰かを変える役割を持たせます。

ステップ2:スタート(最初はどんな状態か)

ゴールから逆算して、そこへたどり着く必要がある人物像を決めます。

  • 執着を手放せるようになった人 → 最初は「肉親を奪われ、力で取り返すしかないと信じている」
  • 人に頼れるようになった人 → 最初は「幼いころに裏切られ、誰にも近づかない」

スタートとゴールの距離が変化の大きさになります。遠すぎると説得力がなくなり、近すぎると物語が薄くなります。

ステップ3:葛藤(何が変化を阻むか)

ここで書くのは本人の内側にある壁です。外の敵は物語の障害、内側の壁がキャラクターの葛藤にあたります。

  • 執着を手放せるようになった人:復讐を手放したら、過去の痛みはどこへやればいいのか
  • 人に頼れるようになった人:信じて、また裏切られたらどうするのか

ゴール・スタート・葛藤の3つが決まれば、キャラクターの芯はできています。

ステップ4:役割と関係

次に、物語の中での立ち位置を決めます。

  • 主人公の目的を阻むのは誰か
  • 主人公の別の可能性(同じ傷を持ちながら違う道を選んだ人)は誰か
  • 主人公の葛藤を揺さぶるのは誰か

役割はほかのキャラクターと並べて決めると、同じ役割のキャラクターが重なるのを防げます。

ステップ5:外見・口調・細部

最後に、年齢・外見・特技・口癖などを埋めます。外見は見分けのつく特徴を2〜3点選べば十分です。「左頬に傷のある銀髪の男」のように短く書ける特徴は、場面の中で何度でも使えます。

口調は、ステップ1〜3で決めた内面とつながるように選びます。人を寄せつけないキャラクターなら短い文で話す、自信のないキャラクターなら語尾を濁す、といった具合です。一人称(私・僕・俺・あたし・わし)、二人称(あなた・君・お前・あんた)、ほかのキャラクターの呼び方(呼び捨て・さん付け・あだ名)だけでも人物像と距離感が大きく変わるので、ここで決めておきます。

ほかのジャンルでの例(ステップ1〜3)

ジャンルゴールスタート葛藤
異世界ファンタジー仲間に背中を預けられる追放され、「ひとりで強くなるしかない」と思っているまた役立たずと切り捨てられるのが怖い
学園・恋愛好きなものを好きと言える周りに合わせて、趣味を隠している本当の自分を見せたら、居場所をなくすかもしれない

記入例:逆算設定法でひとり作る

5ステップで作ったキャラクターの記入例です。「最初に埋める8項目」を逆算設定法の順に並べ、ゴールとスタート(8項目の「最初の状態 → 最後の状態」)を分けて書いています。人物はこの解説のための創作です。

項目内容
ゴール(ステップ1)「書くことは誰かを傷つける。それでも書く」と引き受けられるようになる
スタート(ステップ2)「事実だけを書けば、誰も傷つかない」と信じている
葛藤(ステップ3)真相を書けば、十年前に自分をかばってくれた恩人を告発することになる
役割(ステップ4)主人公。恩人の元消防団長が、目的を阻む相手であり、もう一人の主人公でもある
名前・年齢・立場久遠 透(くおん・とおる)、29歳、地方新聞の記者
性格(キーワード3つ)几帳面・皮肉屋・お人よし。人を信じたいから、確認せずにはいられない
目的表:十年前の工場火災の真相を記事にする/本当の願い:火災の夜に逃げた自分を許したい
外見の特徴右手中指のペンだこ、いつも同じ紺のブルゾン、テープで留めた眼鏡のつる
口調・口癖一人称は「僕」、相手は「あなた」と呼ぶ。「確認させてください」が口癖で、丁寧語の語尾に皮肉が混じる
秘密(拡張)火災の夜、現場にいた。誰にも言っていない

この設定表を読んで最初に伝わるのは、「彼がどこへ向かうのか」です。外見と口調は、ゴールや葛藤を作中で自然に表現できるよう、逆算して選んでいます。

設定を本文で表現する:説明せず、行動とセリフで書く

設定表に書いたことを、地の文でそのまま説明すると読者には残りません。「几帳面」と書く代わりに、几帳面な人がその場面でとる行動を書きます。

設定表の項目説明で書くと行動とセリフで書くと
性格:几帳面久遠は几帳面な性格だった。久遠は取材メモの日付の横に、時刻を分単位で書き足した。
性格:皮肉屋彼は皮肉を言う癖があった。「確認させてください。あなたの『絶対』は、何回目の絶対ですか」
秘密:火災の夜、現場にいた彼は火災の夜のことを隠していた。焼け跡の写真を渡されたとき、彼は日付の欄だけを見なかった。

設定表の項目ごとに、こうした具体的な行動や仕草を一つ考えておくと、本文を書くときに迷いません。

ジャンル別に足す項目(小説・漫画)

ジャンルや媒体によって、8項目に足しておきたい項目が変わります。

ジャンル・媒体足す項目理由
ファンタジー・異世界もの種族・スキルや能力・能力の代償、世界の中での身分能力に代償がないと、どんな危機も能力で解決できてしまう
ミステリー・サスペンス秘密の時系列(重要な時点で実際に何をしていたか)情報をどの順で読者に見せるかを管理するため
恋愛相手に欠けているもの・自分に欠けているもの、愛情の示し方二人が惹かれ合う理由と、すれ違う理由の両方になる
群像劇危険や裏切りに直面したときの反応キャラクター同士の描き分けを確かめるため(下の対比表)
漫画シルエット、髪型、三面図、表情、配色角度や表情が変わっても同じ人物に見えるようにするため

漫画の設定画(三面図・表情集・配色)は、キャラ設定画・三面図の描き方で詳しく解説しています。ファンタジーなど世界観から作る作品は、先に世界観の枠組みを固めてから、その世界に合わせてキャラクターを作ると矛盾が出にくくなります。

設定が増えたら:矛盾チェックと相関図

キャラクターが5人を超えると、設定同士の食い違いや、似たキャラクターが出てきます。次の3つで整理します。

キャラクター対比表で描き分けを確かめる

同じ状況に置いたとき、キャラクターごとに反応が違うかを表で比べます。

キャラAキャラBキャラC
危険に直面したとき正面から立ち向かう回り道を探す逃げる
裏切られたとき怒って報復する冷静に理由を探る自分を責める

二人のキャラクターがどの行でも同じ反応をするなら、片方を作り直すか、一人にまとめるサインです。

内面の矛盾を一つ持たせる

主要キャラクターには、相反する性質を一組持たせると立体的になります。この矛盾は、読者が惹かれるギャップにもなります。

  • 表向きはクールだが、人の目をとても気にしている
  • 自信満々にふるまうが、内心は自分を疑っている

長所には代償をセットにしておくと、完璧すぎるキャラクターを避けられます。賢いが傲慢、優しいが決められない、勇敢だが無謀、という具合です。

相関図と「いまの状況」を更新する

人間関係が込み入ってきたら、相関図にまとめます。作り方はキャラ相関図の作り方とキャラクター関係表のテンプレートを参考にしてください。

設定表に「いまの状況」のメモ欄を作り、「いま物語の中でどんな立場にいるか」(追われている、正体を隠している、主人公と決裂中など)を書いておくと、話数をまたいでも食い違いにくくなります。一話書き終えるたびに、目的・葛藤・状態がずれていないかを見直しましょう。長編でのキャラクター設定の崩れ方と防ぎ方は、長編連載でキャラクター設定が崩れる理由とキャラ崩壊の防ぎ方にまとめています。

LitMemo では、キャラクターごとにカードを作って設定をまとめ、それぞれの関係性を相関図で一覧できます。

よくある失敗

  • 設定ばかり作って本文を書かない:設定表は書くための道具です。8項目がそろったら書き始めて、足りない項目は書きながら補いましょう
  • 完璧なキャラクターにしてしまう:欠点や弱みのない完璧なキャラクターには、読者が感情移入する隙がありません
  • どのキャラクターも作者に似てしまう:自分と価値観が違うキャラクターを一人は作ってみましょう。対比表で反応が自分と同じになっていないかも確かめられます

さらに読む

よくある質問

キャラクター設定は、全部の項目を埋めないといけませんか?
主要キャラクターなら「最初に埋める8項目」がそろえば書き始められます。拡張項目は、長編や群像劇で情報が足りなくなったときに必要なものだけ足してください。使わない項目まで埋めようとすると、設定づくりで手が止まりやすくなります。
キャラクター設定とキャラクターデザインは何が違いますか?
キャラクター設定は、性格・目的・葛藤・生い立ち・人間関係など、そのキャラクターの中身と物語での役割まで含めた設定全体です。キャラクターデザインは、そのうち見た目(髪型・服装・配色・シルエット)を絵として形にする作業を指すことが多く、漫画やイラストでは三面図などの設定画にまとめます。
キャラ設定とオリキャラのプロフィールは何が違いますか?
キャラ設定は物語を書くための自分用の資料で、秘密や結末での変化まで書きます。交流やイラスト投稿のために公開するオリキャラのプロフィールは、名前・外見・性格など見せてよい項目に絞り、物語で明かす秘密は伏せておくのが一般的です。
脇役にもキャラクター設定は必要ですか?
名前があって二回以上登場するキャラクターなら、名前・役割・見た目の特徴一つ・口調(セリフ一つ)・欲しいもの・主人公との距離感の6項目程度で十分です。脇役の設定が膨らんできたら、主要キャラに格上げするか、ほかのキャラと役割をまとめるサインです。
書いている途中で設定を変えてもいいですか?
変えてかまいません。書き進めるうちにキャラクターが予定と違う方向へ育つのはよくあることです。変えたら設定表も更新し、とくにゴール・スタート・葛藤がほかの場面と食い違っていないかを確かめてください。
悪役のキャラクター設定で気をつけることは?
主人公と同じように、目的・葛藤・最初と最後の状態まで作ります。「自分が彼の立場なら、同じ選択をするかもしれない」と読者が思える理由があると、悪役に厚みが出ます。敵対・確執の項目は、悪役側の言い分でも書けるか確かめましょう。
キャラクター設定はどこにまとめればいいですか?
一か所にまとめることが一番大切です。メモアプリやスプレッドシートでもかまいません。記入欄つきの表が欲しい場合は、LitMemo のキャラクター設定表テンプレート(24項目の拡張版・コピペ用テキストつき)が使えます。