小説の人物相関図の書き方|キャラ相関図の作り方6ステップと例

小説の人物相関図は、主人公を中央に置く → 主人公から線を引き、線の上に関係を書く → 片想いのような一方通行の感情は矢印にする → 脇役同士の線を足す → 詳しい経緯は別の関係メモにまとめる、の順番で書けます。登場人物や勢力が多い物語は、先に家族や陣営ごとに枠で囲んでから線を引きます。描き終えたら、線が1本もないキャラクターがいないか、脇役同士に線があるかを確認します。

長編では、相関図がいちばん役に立つのは書き始めてからです。第120話まで来て、2人の脇役が序盤でどう仲違いしたのかを確かめたくなる。だから相関図は、描くだけでなく、書きながら更新し続けるものとして作ります。ここで扱うのは、作者が執筆中に使う自分用の相関図です。読者に見せる相関図は、ネタバレになる線を外して別に仕上げます。

人物相関図とは?小説で必要になるタイミング

人物相関図は、登場人物の名前を並べ、関係のある2人を線で結んで、線の上に関係を書いた図です。家族もの、後宮もの、群像劇、複数の視点が交差するファンタジーのように人物が多い物語では、記憶だけに頼るとミスが出始めます。2人の脇役がもう会っていたことを忘れる、人前と2人きりのときの呼び方が混ざる、まだ誰にも明かしていない秘密をセリフで先に漏らしてしまう。

作るかどうかは、繰り返し登場する人物の数でおおまかに判断できます。

繰り返し登場する人物目安
3人まで頭で覚えておけば足りる
4〜5人四角関係や仲良しグループなど、関係そのものが物語の中心なら作る
6〜10人作りどき。長編連載ならなおさら
10人以上(後宮もの、家族もの、勢力が入り乱れるファンタジー)必須。物語に合わせて更新し続ける

人物相関図の書き方:6つのステップ

ここからは、自作の6人で例を示します。主人公の志乃、幼なじみの透、志乃を引き取って育てた老剣士の宗玄、賞金稼ぎの迅、一族を裏切った叔父の篤、賞金稼ぎに仕事を回す元締め・灯守会の会長です。

1. 繰り返し登場する人物を書き出す

物語を動かす人物だけを書き出します。茶屋の主人や通行人のように一度しか出ない人物は、最初は入れません。そのほうが、図が最初から埋まりすぎずに済みます。人物の枠には名前に加えて、年齢や立場をひとこと添えておくと(例:宗玄/68歳/志乃の師匠)、人物が増えても誰だったかすぐに思い出せます。

2. 主人公を中央に。人物が多いなら先に枠で囲む

主人公が1人の物語なら、主人公を中央に置き、主人公と近しい人物ほど近くに配置します。W主人公、群像劇、後宮もの、勢力の多いファンタジーでは、同じ家族・流派・組織の人物を先に枠で囲みます(例:志乃の一族の枠、灯守会の枠)。枠の中には内輪の関係を、枠と枠の間には陣営をまたぐ線だけを引きます。

3. 主人公から線を引き、線には必ず文字を書く

線を1本引くたびに、家族・恋人・ライバル・師弟・同盟といった関係を書き込みます。文字のない線は、数か月後には自分でも味方なのか敵なのか分からなくなります。

4. 一方通行の感情は矢印にする

片想い、一方的な恨み、恩や借り、片方だけが知っている秘密は、気持ちや借りがある側から矢印を出します。序盤の透は志乃に想いを寄せていて、志乃はそれに気づいていない——これは「透 → 志乃」の矢印です。2人の気持ちが食い違うなら、矢印を2本に分けます。

5. 脇役同士の線を足す

主人公の線を描き終えたら、脇役同士を見ます。迅は透に罰金を肩代わりしてもらった借りがある、会長は迅に仕事を回す元締め、篤と会長は裏で手を組んでいる。主人公が出てこない話でも物語が動くかどうかは、こうした線で決まります。

6. 線の上はキーワードだけ、経緯は関係メモに書く

図の線には「育ての親」「命の恩人」程度のキーワードだけを書くと、図が文字で埋まりません。経緯は別の関係メモ(1行に1組の表)に書きます。「宗玄は7歳の志乃を引き取り、剣と読み書きを教えた。今は志乃が宗玄の薬代を稼いでいる」——場面を書くときに使えるのはこちらです。関係が始まった話数も書き添え、物語の開始前からある関係は「本編前」とします。

線と色の描き分け

手描きの人物相関図は、色で関係の性質、実線と破線で表と裏、矢印で向きの3つの記号で描き分けられます。線の種類を細かく分けすぎると、線が増えたときに見分けがつかなくなります。次の組み合わせは一例です。自分の好みに変えてかまいませんが、1枚の図の中では統一します。

記号意味
赤恋愛:恋人、片想い
緑家族、師弟
青友好・協力:友人、同盟、恩、裏での協力
黒敵対:ライバル、仇
実線周りも知っている関係
破線2人が周りに伏せている関係:密約、内通、隠れた恋人(読者にもまだ明かしていないなら、明かす話数を横に書く)
灰色の線終わった関係(終わった話数を横に書く)
矢印一方通行:片想い、借り、片方だけが抱えている感情、命じる側から命じられる側へ

ペン1本で描くときは、実線・破線・矢印の3種類で分け、残りは線の上の文字で補います。1組に2つの関係があるなら両方書きます。同じ線に2語書くか、線を2本引きます。師匠であり仇でもある、といった組み合わせは、そのまま物語の見せ場になります。関係が変わって性質も変わったときは、今の関係の色で描き、線の上に「ライバル → 同盟」のように変化を書きます。

小説の人物相関図の例

上の6人を描き終えると、7組の関係(線は9本)ができます。図は第15話から第19話までの時点、つまり志乃と迅が手を組んだあとで、篤と会長の密約はまだ読者に明かしていない段階です。

  • 志乃 — 透:幼なじみ → 恋人(第12話までは透から志乃への片想いの矢印。気持ちを伝え合ってからは矢印のない実線に)
  • 宗玄 — 志乃:育ての親・師匠(家族の実線1本に2語。志乃は人前では「師匠」、2人きりでは「じい様」と呼ぶ)
  • 志乃 → 篤:仇、一方通行(一族を裏切った叔父。志乃に気づかれたことを、篤はまだ知らない。もとの叔父と姪の関係は灰色の線)
  • 志乃 — 迅:ライバル → 同盟(同じ賞金首を追っていたが、第15話から手を組む)
  • 透 — 迅:友人。別に 迅 → 透 の借りの矢印(第3話で透が迅の罰金を肩代わり)
  • 灯守会の会長 → 迅:元締めと賞金稼ぎ(会長が仕事を回す)
  • 篤 — 灯守会の会長:密約、破線(第20話で読者に明かす)
人物相関図の例:中央に主人公の志乃。赤い線で幼なじみの透(幼なじみから恋人)、緑の線で育ての親の宗玄(育ての親・師匠)、青い線で賞金稼ぎの迅(ライバルから同盟)とつながり、叔父の篤へは黒い矢印(仇・一方通行)と、断絶した叔父と姪の関係を表す灰色の線。透と迅の間には友人の線と、迅から透への借りの矢印。灯守会の会長から迅へ元締めの矢印(仕事を回す)、篤と会長の間は青い破線の密約。下に凡例:赤は恋愛、緑は家族・師弟、青は友好・協力、黒は敵対、灰色は過去の関係、破線は秘密、矢印は一方通行。
6人・7組の関係を1枚にした例。色で関係の性質、破線で秘密、灰色の線で終わった関係、矢印で一方通行を表しています

図にすると、篤と会長を結ぶ破線が目を引きます。読者にまだ明かしていない唯一の関係で、第20話の種明かしはこの1本にかかっています。自分の作品で同じように書き出すなら、人物相関図テンプレートに空白の下書きと12種類の関係の描き方があります。

描き終えたら確認したい2つのこと

線が1本もないキャラクター

名前も設定もあるのに、誰とも線でつながっていないキャラクターは、たいてい次の2種類です。

  • 端役:茶屋の主人、通行人。線がなくて当然で、本筋に組み込む必要はありません
  • 忘れられた脇役:背景までしっかり作ったのに、誰ともつなげ忘れている。こちらは直します

設定を作り込んだキャラクターには、少なくとも1本は線があるはずです。つなげる相手が見つからないなら、そのキャラクターが本当に必要かを考え直します。

脇役同士に線が1本もない

主人公の線がいちばん多くなるのは自然なことです。気をつけたいのは、どの脇役も主人公にしかつながっておらず、脇役同士に線が1本もない状態です。こうなると、脇役は主人公と絡まない限り出番を作れず、主人公はあらゆる場面に顔を出さなければならなくなります。読者には、世界が主人公1人を中心に回っているご都合主義に見えてしまいます。

左:中央の主人公から6人の脇役へ1本ずつ線が出ていて、脇役同士には線がない。右:主人公は5人の脇役とつながり、脇役同士にも4本の赤い線がある。いちばん下の脇役は、ほかの脇役を通してだけつながっている。
左はどの脇役も主人公にしかつながっていない図。右は脇役同士にも線があり、主人公が全員と直接つながらなくても、人間関係が網の目のようにつながっています

直すには、脇役同士に利害や感情を持たせます。2人の脇役が同じものを狙う、互いに借りがある、対立する陣営に属している。三角関係がひとつ生まれれば、主人公が出てこない話にも書く場面ができます。

長編連載での相関図の更新のしかた

相関図をいちばんよく開くのは、書いている途中です。次の4つのタイミングで見直します。

  • 新しい章を書き始める前:解決していない対立を抱えているのは誰か。しばらく動いていない線はどれか。次の章で広げる価値がいちばん高い線は、たいていそこにあります
  • プロットを直す前、キャラクターを削る前:その線がどれだけの人物につながっているかを確かめます。小さな修正のつもりでも、物語の半分に関わる線だと分かることがあります
  • 中盤で話が散らかってきたと感じたとき:孤立したキャラクターが増えている、脇役同士の線がまた消えている——構造が崩れ始めているサインです
  • 続編を書き始める前:前作の結末での関係を振り返ります。続編はそこから始まります

更新するときに押さえたいことは4つです。

1. 区切りのいいところでまとめて更新する

締め切りに追われているときに、1話書くごとに図を直す必要はありません。章や部を書き終えたとき、新しい勢力が登場したとき、関係が大きく動いた話のあとに、5分ほどかけて新しい人物と変わった関係を書き足します。

2. 線には「なぜ」のキーワードを書く

「師弟」だけでは情報が足りません。たとえば師匠が弟子の父親を手にかけた過去を隠しているなら、「師弟・父の仇」と書き添えます。これだけで、この線は物語を動かす火種になります。図にはキーワード、詳しい経緯は関係メモに書きます。

3. 関係が変わったら、古い関係を残したまま書き足す

敵が味方になり、味方が敵になります。古い関係を消してしまうと、回想や対決の場面を書くときに、その前の経緯を確かめられません。「戦友 → 第40話で決裂」と書くか、古い線を灰色にして終わった話数を添えます。

4. 部が変わったら新しい図を別に保存する

100万字を超える長編では、第1部と第3部で勢力図がまるごと入れ替わることもあります。新しい線と灰色の線を1枚に重ね続けると読めなくなるので、「第1部の相関図」「襲撃から5年後の相関図」のように新しい図を別に保存し、古い図はその時点の記録として残します。

登場した話の記録はツールに任せられます。キャラクターがどの話に登場したかを自動で記録できる執筆ツールもあります。恋愛、恨み、嫉妬といった感情の関係は、自分で書き込みます。

関係の先にある「呼び方」

相関図は「この2人はどういう関係か」に答えます。けれど、いざセリフを書くときに迷うのは別のことです。このキャラクターは、相手を何と呼ぶのか。

こちらのほうが間違えやすいところです。師弟の関係は安定していても、弟子は人前では「師匠」、2人きりでは「じいさん」、喧嘩になればフルネーム——同じ関係に3つの呼び方があります。反対に、関係はとっくに変わったのに呼び方だけが変わっていないと、読者は呼び方のほうから違和感に気づきます。

呼び方はキャラクターシートに収まりにくい情報です。個人の設定ではなく、「誰から誰へ」という組み合わせで決まるからです。口癖はその人だけのことなので、キャラクターシートに書けます。「相手を何と呼ぶか」は組み合わせごとに答えがあり、10人いれば90通りになります。

左は相関図:AとBを一本の線が結び「師弟」と書かれている。右は呼び方マトリクス:AからBのマスに「師匠」、BからAのマスに「この小僧」、対角線は一人称。
図の上では一本の線が、マトリクスでは二つのマスになります——呼び方は、呼ぶ側ごとに決まるからです

記録のしかたは2つあります。

  • 例外だけ記録する:たいていのキャラクターは互いを名前で呼ぶので、記録はいりません。予想どおりでないものだけを書きます——わざとつける敬称、2人の間だけのあだ名、わざとフルネームで呼ぶ距離感。手間がいちばん少なく、効果もあります
  • 呼称表にまとめる:中心の5〜10人をN×Nの表(マトリクス)に並べ、各マスにはその人が使う呼び方を、対角線には一人称を入れます(目上と目下で一人称が変わる人物は、マスの中で書き分けます)。主人公たちや家族のように毎日顔を合わせる小さな輪に向いています。人物がさらに多いときは中心の陣営だけを並べます。全員を並べるとマスの大半が空くからです

どちらを選んでも、基準はひとつです。セリフを書く前に、すぐ調べられるか。 調べられなければ記憶に頼って書くことになり、何十万字も連載するうちに、どこかで必ず記憶違いが起きます。

紙、作図ツール、執筆ツールのどれで作るか

方法向いている場面気をつけたいこと
紙、ホワイトボード書き始める前の構想、人物が5人まで人物が増えると1枚まるごと描き直しになる
PowerPoint、Canva などの作図・デザインツール、イラストソフト、スマホの相関図アプリ読者や共同制作者に見せる1枚を仕上げる、レイアウトを自由に組む図とキャラクター設定が別々になるので、物語が変わるたびに両方を直す
キャラクター設定とつながった執筆ツール長編連載、関係が変わり続ける物語先にキャラクターをツールに登録する

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LitMemoの相関図の画面:日本語のインターフェースで、キャラクターの名前が並び、線には「師弟関係」「味方」「家族」などの関係の種類が書かれている。
配置は自動で整い、線には関係の種類が入り、左上から関係の種類で絞り込めます

LitMemo でキャラクターと関係を作ると、相関図が自動で描かれます。関係の濃いキャラクター同士は近くに集まり、関係の種類で絞り込んだり、名前で検索したりできます。図の「両端の語を表示」をオンにすると、互いの呼び方がそれぞれの名前の横に出ます。話の中で言及したキャラクターは、どの話に登場したかが自動で記録されます。同じ世界でシリーズを書くときは、キャラクターと関係を世界全体で共有でき、シリーズ全体の相関図と作品ごとの相関図を切り替えて見られます。

よくある質問

キャラ相関図は紙に描いてもいい?
書き始める前の構想なら紙で十分です。人物が5人を超え、物語の途中で関係が変わり続けるなら、配置を直すたびに描き直すことになるので、ドラッグで動かせて絞り込めるデジタルのツールのほうが手間がかかりません。
マインドマップや作図ツールと、執筆ツールの相関図は何が違う?
作図ツールの図は、キャラクター設定とは別に置かれます。物語を直したら、設定と図の両方を直します。キャラクター設定とつながった執筆ツールなら、1か所直せば図にも反映されます。
シリーズ作品の相関図はどう扱う?
三部作や同じ世界の複数作品では、「シリーズ全体の図」と「作品ごとの図」の2層で考えます。部や巻が変わって勢力図が大きく動いたら、その時点の図を別に保存しておくと、前の巻の関係を確かめられます。
キャラ相関図を読者に見せてもいい?
見せてもかまいませんが、ネタバレに注意します。これからの展開に関わる関係は、図に描くだけで先が読めてしまいます。読者に見せるのは「その時点で確定している関係」だけにし、これから明かす関係は外しておきます。
師匠であり仇でもある、のように1組に2つの関係があるときは?
両方書きます。同じ線に2語書くか、色の違う線を2本引きます。どちらか1つにまとめると、2人が絡む場面でいちばん大事な葛藤が図から抜け落ちてしまいます。
相関図はどこまで細かく描けばいい?
物語の展開に関わる関係までで十分です。一度しか出ない端役は入れず、線の上には「育ての親」「借り」程度のキーワードだけを書きます。経緯や話数は関係表に分けて書くと、図は見やすいまま、調べたいことは表で引けます。