キャラ設定画・三面図の描き方|漫画で崩れない設定資料の作り方
キャラ設定画とは、ひとりのキャラクターの見た目を、どの角度・どの表情でも同じように描けるようにまとめた絵です。 中心になるのは正面・側面・背面を横に並べた三面図で、頭頂・あご・肩・腰・ひざの高さを水平の補助線でそろえて描きます。漫画の設定画には、三面図のほかに次のものを入れます。
- 三面図+頭身の補助線:立体の形と高さを決める
- 表情集(表情差分):そのキャラクターの泣き方・笑い方を決める
- 配色(カラーパレット):髪・瞳・肌・服の色を決める
- シルエットと見分けポイント:ひと目で誰かわかるようにする
- 小物・衣装の細部:上着を脱いだとき、武器を抜いたときに描き間違えない
- 身長比較:複数のキャラクターが並んだときの身長差
- プロフィール:名前・年齢・身長・性格・決めゼリフ

設定画を描く前に、どんな人物にするかを中身から考えたいときは、キャラクター設定の作り方を先に読むと進めやすくなります。
キャラ三面図の描き方:6ステップ
ステップ1:正面を、腕を少し開いた立ちポーズで描く
情報量がいちばん多い正面から描きます。ポーズは足を少し開き、腕を体から離した立ちポーズ(Aポーズ)にすると、脇の下や腰まわりの服の形が見えます。デジタルなら対称定規で体と左右対称の服を描き、あとから左右非対称の髪や小物を足すと早く進みます。体のバランスがつかめないときは、CLIP STUDIO PAINT の3Dデッサン人形を下に敷く方法もあります。
ステップ2:頭身を測って、水平の補助線を引く
正面のラフができたら、頭の高さを1単位にして何頭身かを測ります。そのうえで、頭頂・目・あご・肩・胸・腰・股・ひざ・足の裏に水平線を引き、キャンバスの端から端まで伸ばします。
この補助線が三面図の骨組みです。 側面と背面も同じ線の上に描くので、三つの図で目の高さや腰の位置がそろいます。

ステップ3:補助線に沿って側面(真横)を描く
側面で決めることは、正面からは見えないものばかりです。
- 体の厚み:胸から背中、お腹からお尻までの厚み。正面の幅に引っぱられて薄くなりやすい部分です
- 重心:耳・肩・腰・くるぶしがほぼ一本の縦線に乗り、背骨はゆるいS字を描きます
- 手前の腕:手前の腕が胴とベルトを隠します。腕を半透明にするか、肩から先を外して描く方法がよく使われます
- 髪のボリューム:前髪がどれだけ前に出るか、後頭部にどれだけ髪があるかは、側面でしか決まりません

側面を省くと、斜めを向いたポーズで脇の下や服の横がどうなっているかわからなくなります。人に絵を頼むときや、合同誌・アンソロジーで別の人に描いてもらうときは、とくに側面が必要です。
ステップ4:背面を描く
Aポーズなら、背面の輪郭は正面とほぼ重なります。正面のレイヤーを複製して左右反転し、それを下敷きにして背中側を描き起こします。反転を忘れると、髪の分け目や片側だけの髪飾り・武器の位置が正面と逆になります。後頭部の髪型、髪の毛先、服の背中の切り替え、ベルトの留め方、リュックや武器を背負う位置を決めます。
長い髪やマントは別に描きます。 腰まである髪や大きなマントは背中を隠してしまうので、髪をまとめた背面、または髪を半透明にした背面を横に足しておくと、服の背中まで伝わります。

ステップ5:斜め前を足す
漫画のコマでいちばん多く描く角度は斜めです。正面・斜め・側面・背面の四方向をそろえておくと、さらに安定します。目から耳までの距離、頬からあごへの曲がり方は、斜めの角度でずれがいちばん目立ちます。
ステップ6:そろっているか確かめる
補助線を一本ずつたどり、三つの図の目・肩・腰・ひざが同じ線に乗っているかを見ます。小物の左右も確かめます。キャラクターが左側につけている髪飾りは、正面図では画面の右、背面図では画面の左に来ます。
顔は全身図だと小さくなるので、頭だけの正面・斜め前・真横を別に描いておくと安定します。真横では鼻・口・あごのライン、目と耳の高さの関係を決め、正面と真横で目の縦幅が変わっていないかを確かめます。
三面図はどこまで描き込む?用途別の目安
| 用途 | よく使われる形 |
|---|---|
| 自分ひとりで漫画を連載する | 斜めの全身+背面の簡単な図+表情いくつか。自分が同じように描ければ十分 |
| アシスタントや合作の相手に渡す | 正面・側面・背面をきっちりそろえ、ベタとトーンの指定も入れる |
| 3Dモデルを発注する | 正面・側面・背面をAポーズかTポーズでそろえ、パースをつけずに描く。影は最小限にして形と色を見せる |
| Live2Dモデルを作る | 三面図とは別に、正面を向いた完成立ち絵を用意し、動かす部位(前髪・横髪・後ろ髪・白目・瞳・口・腕など)ごとに分けたパーツ分けPSDにする。隠れる部分(前髪の下のおでこ、腕の後ろの体)も描いておく。デザインの共有用に簡単な三面図を添える |
| 企画参加や、別の絵師さんに絵を依頼する | 三面図か全身図+表情+配色+プロフィールを一枚にまとめる。絵がまだない場合は、文章の設定からキャラクターデザインを依頼する方法もある |
三面図以外に設定画に入れるもの
表情集:キャラクターの「演じ方」を決める
漫画は表情で芝居をします。喜・怒・哀・驚に、そのキャラクターらしい一枚(ニヤリ顔、無表情、むくれ顔など)を加えて並べます。
決めておくのは表情のクセです。怒ると眉を寄せるのか吊り上げるのか、笑うと口を閉じるのか大きく開けるのか。クセが決まっていると、感情の場面でもそのキャラクターに見えます。
配色:色見本とカラーコードを残す
髪・瞳・肌・服の色は、連載の途中で少しずつ変わりやすい部分です。設定画の横に部位ごとの色見本(ベースの色と影の色を一つずつ)を置き、塗るときはスポイトで拾うか、ペイントソフトのカラーセットに登録します。「#」から始まるカラーコードも書き添えておくと、別のソフトや別の人の環境でも同じ色を再現できます。衣装が複数あるなら衣装ごとに作ります。モノクロ漫画でも、カラー扉や表紙、告知用イラストで使います。
シルエットと見分けポイント
キャラクターには、ひと目でわかる見分けポイントを一つ二つ持たせます。傷、ほくろ、アホ毛、目立つ髪飾り、オッドアイなどです。そのうえで、キャラクターを黒く塗りつぶし、輪郭(髪型・帽子・マント・体型)だけで誰かわかるかを試します。
登場人物が多い作品ほど、シルエットの描き分けが効きます。引きの絵や小さなコマで読者が人違いをしにくくなります。
小物・衣装の細部
眼鏡、武器、リュック、腕時計、上着の裏地、靴底。こうした細部は描き忘れやすく、連載の途中でキャラクターが上着を脱いだり、剣を抜いたりした瞬間に形がわからなくなります。開いたところ、裏返したところ、内側を別に描いておきます。服が何枚も重なるなら、上着を脱いだインナーの状態も一枚描いておくと安心です。襟の形、袖をまくったときの形、靴の形も、困りやすい部分です。
ベルトやリボンは、正面だけに描くと「背中までつながっているのか、飾りが前に付いているだけなのか」が伝わりません。背面図でつながり方まで描いておきます。
身長比較
一人ずつ見ると正しくても、並べたら主人公が脇役より小さかった、ということが起きます。主要キャラクターを同じ地面の線に並べ、頭身の補助線で身長差を決めた身長比較を一枚作っておくと、同じコマに何人も入る場面で迷いません。
プロフィール
設定画の余白に、名前・年齢・身長・性格のキーワード・決めゼリフ・主人公との関係を書いておきます。担当編集やアシスタント、企画の相手に渡したとき、絵だけでは話し方や行動の仕方までは伝わらないからです。プロフィールはキャラクター設定表テンプレートで整理してから、必要な行だけ設定画に載せると早くまとまります。
漫画の設定画は「何百回も描ける」形にする
設定画のキャラクターは、連載の中で何百回も描くことになります。カラーイラストのような描き込みは、毎回の作画を重くします。漫画の設定画では、次の二つを決めておきます。
- 線をどこまで省くか(線の簡略化):髪の束を何本に分けるか、服のしわを何本まで描くか、主線の太さ、瞳のハイライトの形。毎回5分かかる髪飾りは、連載では自分やアシスタントの負担になります
- ベタ・トーンの指定:どこをベタにするか、黒髪にツヤベタを入れるか、どこにトーンを貼るか、影は何段階までか。コマごとの白黒のバランスがそろい、アシスタントに任せても絵がぶれません
決める前に「これを500回描けるか」と考えると、続けられる線の量に落ち着きます。
AIで三面図を作るときに確かめること
画像生成AIを使えば、三面図のたたき台を短い時間で作れます。できあがったら、ステップ6と同じ見方で確かめます。
- 三つの角度で同じ人物に見えるか:顔の形、目の大きさ、髪の量は側面と背面で変わりやすい部分です
- 背面がデザインどおりか:AIは見えていない背中側を推測で描きます。後ろ髪や背中の服の形を指示文で具体的に書いて生成し直すか、ペイントソフトで描き直します
- 小物の左右が合っているか:左につけた髪飾りが、正面図では画面の右、背面図では画面の左にあるか
- 頭身がそろっているか:三つの図に水平線を引き、同じ高さに並んでいるか
確かめて直した一枚を、以降のコマの参考にします。AIで漫画を描くときに顔をそろえる方法は、AI漫画のキャラ一貫性で解説しています。
よくある失敗
- 正面の立ち絵だけで、補助線がない:角度を変えると目と腰の高さがずれます。三面図には水平の補助線を必ず入れます
- 見栄えを優先して、描きやすさを考えていない:設定画は何百回も描くための資料です。線を簡略化し、ベタ・トーンの指定を入れておきます
- 色を記憶で塗っている:部位ごとに色見本を置き、毎回そこから色を拾います
設定画とプロフィールを一か所にまとめる
設定画ができたら、作画中はペイントソフトのサブビューや PureRef などで横に置いて見ながら描けます。手間がかかるのは、キャラクターが増えてからです。画像、プロフィール、何話で衣装を変えたかが別々のフォルダに散らばり、原作者やアシスタントと共有するときに食い違います。
LitMemo のキャラクター管理では、キャラクターごとのカードに外見・見分けポイント・性格・人間関係をまとめ、三面図や表情集などの設定シートを画像として同じカードに追加できます。外見の欄をもとに「AIで設定シートを生成」でき、正面・斜め・後ろ姿の全身と表情2つを一枚にした設定シートが作れます。「AI作画の参考に設定」した画像は、AI漫画生成でコマを描くときの参考として使われます。
手元にキャラクターの絵が1枚あれば、そこから始めることもできます。AI作画の参考画像がまだないキャラクターは、最初にアップロードした画像が自動で参考画像に設定されます。「外見を読み取る」を押すと、絵から読み取った特徴が下書きとして並び、反映する項目を選べます。「設定シートを生成」では、その絵をもとに同じ構成の設定シートが新しく作られ、元の画像はそのまま残ります。設定シートができたら、6〜8種類の表情を並べた表情シートも生成できます。衣装が変わるキャラクターは衣装を複数登録でき、衣装ごとの設定シートと表情が、割り当てた各話で自動的に切り替わります。全体の流れはAIで漫画を作る5工程をご覧ください。
まとめ
キャラ設定画の中心は三面図です。正面を描いて頭身を測り、水平の補助線に沿って側面と背面を描きます。漫画用には、表情集・配色・シルエット・小物の細部・身長比較・プロフィールを足し、線の簡略化とベタ・トーンの指定で、何百回描いても同じキャラクターに見える資料にします。
