縦読み漫画の描き方|縦スクロール漫画のコマ割りと画像サイズ
縦読み漫画(縦スクロール漫画・Webtoon)は、スマホで上から下へスクロールして読む形式の漫画です。描き方の要点は次の4つです。
- 投稿先の規定でキャンバスを決める:横幅と1枚の画像の高さ、容量の上限は投稿先ごとに違います
- 1画面に入る量で考える:ページの代わりに、スマホの1画面が読むときの単位になります
- コマ間の余白でテンポをつくる:余白の長さが、次のコマが目に入るまでの「間(ま)」になります
- 見せたいコマは1画面に収める:キャラの顔とセリフが同じ画面に入るように描きます
以下、ページ漫画との違い、キャンバスと画像サイズ、コマ割りの6つのポイント、ページ漫画を組み直すときのチェックを順に解説します。
縦読み漫画とページ漫画の違い
| ページ漫画 | 縦読み漫画 | |
|---|---|---|
| 読む向き | 右上から左下へ(右綴じ) | 上から下へ |
| 一度に見える範囲 | 見開き2ページ | スマホの1画面 |
| 区切りの単位 | ページ・見開き | 1画面分のスクロール |
| 驚きのつくり方 | ページをめくった先(メクリ) | 長い余白のあとに現れるコマ |
| 枠 | 内枠・タチキリ・ノドがある | 内枠やタチキリ線がなく、横幅いっぱいまで使える |
| 色 | 雑誌掲載はモノクロが中心 | フルカラーの作品が多い |
いちばん大きな違いは、読者が先を見られないことです。ページ漫画は開いた瞬間に見開き全体が目に入りますが、縦読み漫画は今の1画面しか見えません。次に何が来るかは、スクロールするまで分かりません。
キャンバスと画像サイズ
縦読み漫画は、縦に長いキャンバスに描き、投稿するときに何枚かの画像に分けて書き出します。サイズは投稿先の規定に合わせます。
| 投稿先 | 画像1枚の規定 | 1話の上限 |
|---|---|---|
| WEBTOON(英語圏向け。クリエイター向けハンドブック) | 横800px・縦1280px以内。超えると自動で分割・縮小される。1枚2MBまで、JPG・PNG | 合計20MB・100枚まで |
| comico(CLIP STUDIO PAINTの講座で紹介されている例) | 690×20,000px以内 | 20MB以内・100枚以内 |
規定は変わることがあるので、描き始める前に投稿先のヘルプや投稿画面で確認してください。LINEマンガ、ジャンプルーキー!など、国内の投稿先にもそれぞれの規定があります。
上の数値は書き出すときの画像のサイズです。描くときは、書き出しサイズより大きいキャンバス(横幅の2倍など)で描き、書き出すときに縮小して規定の高さで分割します。最初から書き出しサイズで描くと線が粗くなり、あとから紙の本にしたいときにも使えません。
CLIP STUDIO PAINTには縦スクロール漫画用のキャンバス設定があり、スマホでの見え方を示す表示枠を見ながら描いて、分割して書き出せます。1話を1本の長いキャンバスで描くか、いくつかのキャンバスに分けるかは、作業のしやすさで選びます。
縦読み漫画のコマ割り6つのポイント
1. 1画面に入るコマは多くても2つ
WEBTOONのハンドブックでは、絵をじっくり見てもらうために、1画面に入るコマは最大2つまでが目安とされています。横幅の狭いスマホにコマを詰めると、1つ1つの絵が小さくなります。
2. コマ間の余白で「間」をつくる
縦読み漫画では、コマとコマの間の余白の長さが、そのまま読むテンポになります。WEBTOONのハンドブックでは、次の数値が目安とされています(横幅800px基準)。
- コマとコマの間:最低200px
- 場所や場面が変わるとき:600〜1000px空けて、時間の経過を伝える
少年ジャンプ+で縦スクロール漫画を連載する作家も、編集部ブログのインタビューで、コマとコマの「間」を横読みの漫画より大きくとっていると話しています。間を詰めると、縦スクロールでは窮屈に感じやすいためです。
3. 視線は下か斜め下へ流す
同じインタビューでは、視線を真横に移動させず、下か斜め下へ流れるように意識していると語られています。日本語のセリフは縦書きなので、コマの中やフキダシは右から左へ読まれますが、ページ全体の流れは上から下です。ページ漫画のように横にコマを並べると、横読みの漫画を縦につなげただけに見えてしまいます。
2人のキャラを対比させたいときも、横に並べるより、上下に配置するか、1コマの中で縦の構図にまとめるとスマホで読みやすくなります。
4. 見せゴマは顔とセリフを1画面に収める
縦読み漫画のコマは縦にいくらでも伸ばせますが、見せたい絵と言葉は同じ画面に入れる必要があります。ジャンプ+の作家インタビューでも、見せゴマではキャラクターの顔とフキダシの両方がスマホの縦のサイズに入るように注意していると語られています。
縦に長すぎる見せゴマは、顔とセリフが画面の上下に離れてしまいます。見せゴマは、絵とセリフがスマホの1画面に同時に収まる大きさにします。
5. 縦に長いコマと余白で「ため」をつくる
縦読みならではの見せ方が、縦に長いコマです。落下する、塔を見上げる、長い道を歩くなど、高さや距離のある場面は、1コマを縦に長く伸ばすとスクロールしている時間そのものが演出になります。
見せ場の前に長めの余白を置くと、何も見えない数スクロールの間に期待が高まり、現れたコマが強く印象に残ります。ページ漫画のメクリにあたる効果です。
フキダシや効果音、キャラの一部をコマの枠から余白へはみ出させると、コマとコマの間でも視線が途切れず、スクロールが自然につながります。
6. フキダシは縦に順番に並べ、詰め込まない
- フキダシは上から下へ、読む順番に並べます。同じ高さに複数置くと、どれから読むか迷います
- WEBTOONのハンドブックでは、1コマのフキダシは3つ以下が目安とされています
- 1つのフキダシのセリフが長いと、読み終わるまでスクロールが止まります。長いセリフはフキダシを分けます
- 文字の大きさは、投稿先のプレビューやスマホの実機で確認します
1話の構成:最初の画面と最後の画面
縦読み漫画の読者は、作品の一覧やサムネイルから1話を開いて読み始めます。1話の最初と最後の画面は、特に意識して組みます。
- 最初の画面:状況説明から入るより、目を引く絵や「何が起きているのか」と思わせる場面から始めます
- 最後の画面:先が気になる展開や謎を残して終わります。連載では、毎話の最後に強いヒキをつくります
WEBTOONのハンドブックでは、連載は3話分を用意してから始めることが勧められています。
ページ漫画を縦読み漫画に組み直すときのチェック
| ページ漫画のまま | 縦読み漫画で直すところ |
|---|---|
| 横に並んだコマ | 上下に並べ直す。1画面に2コマまで |
| 段間・コマ間が数mm | スクロールの余白として取り直す。場面転換は長めに |
| 見開きの大ゴマ | 縦長のコマにするか、1画面に収まる構図に描き直す |
| メクリの驚き | 見せ場の前に長い余白を置く |
| 1コマに多いフキダシ | フキダシを減らすか、コマを分ける |
ジャンプ+の作家は、縦スクロールの作品を単行本(横読み)にするときは、パズルを組み立てるように並べ替え、足りない部分を描き足す作業が大変だと話しています。紙と縦読みの両方で出す予定があるなら、最初から両方の配置を考えておくと描き足しが減ります。
縦読み漫画のネームと構成
縦読み漫画も、作画の前にネームで流れを決めます。縦長のキャンバスにスマホの表示枠を出し、スクロールしたときの見え方を確かめながら、コマの位置と余白の長さを決めていきます。
その前段階の、話の構成やセリフ出しには、LitMemoの漫画制作が使えます。コマごとに画面の説明・セリフ・効果音を書き出してコマの順番とセリフを先に固め、余白の長さは作画ソフトの縦長キャンバスで調整する、という分担です。キャラクターの見た目はキャラクター管理の設定を見ながら描けるので、話数が増えても見た目がぶれにくくなります。
一続きの場面が何コマになるかを先に見たいときは、コマ割りテンプレートの「縦読み」を使うか、AI漫画生成でその場面の出来事を書き、AIにコマ割り・構図・セリフの下書きを提案してもらうこともできます。下書きはこの記事で紹介した原則に沿って調整しましょう。工程全体の分担はAIで漫画を作る5工程をご覧ください。
ページ漫画のコマ割りの基本は漫画のコマ割りのコツ、ネームの描き方はネームの描き方で解説しています。
まとめ
- 縦読み漫画は、スマホの1画面ずつ上から下へ読まれる。読者は先を見られない
- 書き出しサイズは投稿先の規定に合わせる(例:WEBTOONは横800px・縦1280px以内)。描くのは大きめのキャンバスで
- 1画面に2コマまで。コマ間は最低200px、場面転換は600〜1000pxが目安
- 視線は下か斜め下へ。見せゴマは顔とセリフを1画面に収める
- 最初の画面で読者を引き込み、最後の画面に次の話へのヒキをつくる
