小説の書き方|初心者が1作を完成させる8ステップと書くコツ

小説の書き方は、次の8ステップで進めると、最初の1作を最後まで書き上げられます。

  1. 物語を一文にまとめる(ログライン):誰が、何を求め、何に阻まれるか
  2. 主人公を決める:何を求めていて、物語の終わりにどう変わるか
  3. 短編か長編か、どこに出すかを決める:字数の目安と、Web投稿か新人賞か
  4. 構成を決めてプロットにする:起承転結・三幕構成・ヒーローズジャーニーから一つ
  5. 視点と世界観を決める:一人称か三人称か、どんな場所の話か
  6. 書き出しを書く:主人公の日常が崩れる日から始める
  7. 初稿を最後まで書く:地の文とセリフで場面をつなぎ、止まったら飛ばす
  8. 推敲して、投稿・応募する

各ステップにやり方と、詳しく解説した記事へのリンクをつけています。はじめて小説を書く人は、この8ステップでまず短編を1本書き上げてから長編に進むと、自分がどこでつまずくかが早くわかります。

小説を書くには、まず何を用意する?

用意するものは3つです。書きたい場面やアイデアがひとつ、毎日開ける書く場所(Word、Googleドキュメント、スマホのメモでも可)、そして週に何度か書く時間。文章力や専用ソフト、作り込んだ世界観は、書きながら足していけます。

アイデアは断片でかまいません。誰が、どこで、何が起きて、なぜそれが面白いと思ったのかを、翌日の自分が読んでもわかる形で残しておきます。ネタ帳の作り方は書きたいアイデアはどう掴む?にまとめています。

ステップ1:物語を一文にまとめる(ログライン)

物語の最小単位は 主人公+求めるもの+立ちはだかる壁 です。

町を出たことのない高校生が、卒業までに、母が家を出た理由を突き止めようとする。けれど町の大人たちは、そろって口をつぐんでいる。

この一文が書ければ、物語の向きが決まります。書けないときに欠けているのは、たいてい「壁」です。主人公と目標だけでは話がすんなり結末まで進んでしまい、葛藤が生まれません。この先どのステップで迷っても、この一文に戻れば方向を確かめられます。

ステップ2:主人公を決める

主人公は、読者が最後までついていく人物です。書きはじめる前に、次の3つに答えておきます。

  1. 物語の終わりに、主人公の状況や考えはどう変わっているか
  2. 主人公がいちばん欲しいものは何か
  3. 主人公が抱えている弱さや、踏み出せない理由(過去の傷、恐れ、こだわり)は何か

成長物語の主人公は大きく変わります。ミステリーや冒険ものの主人公は性格が最後まで変わらなくてもよく、変わるのは主人公が知る真相やまわりの状況です。外見・年齢・口癖は最後に足して、3つの答えを支える材料にします。手順と記入例はキャラクター設定の作り方、そのまま埋められる表はキャラクター設定表テンプレートにあります。名前で止まったら小説のキャラ名、どう付ける?を参考にしてください。

ステップ3:短編か長編か、どこに出すかを決める(短編小説の書き方)

短編小説長編小説
字数の目安数千字〜3万字ほど。一度に読み切れる長さ新人賞の規定では10万字以上が目安(下の表)。Web連載はさらに長くなることも
物語ひとつの出来事の前・最中・後主軸に加えて、いくつかのサブプロット
主な登場人物1〜3人主人公たちと脇役たち
構成起承転結や三幕構成がひと組全体でひと組、さらに章ごとに小さな山場
プロット数行のあらすじと転換点章ごとのプロット。書きながら更新する
伏線と設定少なめ。頭の中で管理できる多い。表やツールに書き出しておく
難しいところ限られた字数で「転」を効かせる中盤の失速、前後の設定の食い違い

字数は出す先の規定に合わせます。新人賞とWebコンテストの例です。

出す先長編短編
電撃小説大賞(ワープロ原稿、1ページ42字×34行)80〜130ページ15〜30ページ
同賞にカクヨムから応募する場合10万字以上15万字以内1万字以上3万字以内
カクヨムコンテスト(長編と短編賞)締切までに本文10万字400字以上1万字以内

いずれも過去の募集要項の例で、規定は回ごとに変わります。応募する回の要項をかならず確かめてください。字数で決める賞と、1ページの字数×行数とページ数で決める賞があります。ページ数で決める場合は、改行や会話が多いほどページが増えるので、書式を設定した状態で枚数を確かめます。

Web連載で読者を集めたいのか、新人賞に応募したいのかも、この段階で決めておきます。Web連載は冒頭の数話で読者が続きを読むかを決め、新人賞は1作全体で評価されるので、序盤の組み立て方が変わります。

短編小説の書き方:書くことはひとつに絞ります。数千字以下のごく短いものは、掌編やショートショートとも呼ばれます。主人公ひとり、出来事ひとつ、転換点ひとつで短編は成り立ちます。1万字以内なら章立ては不要で、出来事の前・最中・後を数行のあらすじにまとめ、そこから「どこでひっくり返すか」を決めてから書きはじめます。結末には、読み終えた人が思い返す場面か一文を置きます。

長編小説:長いほど、書きはじめる前に骨組みを決めておく必要があります。長編がいちばん止まりやすいのは中盤です。プロット上は一行で済ませがちな部分が、実際には全体でいちばん長くなるからです(対策は三幕構成を長編小説にどう使うか)。後半で設定が食い違いはじめたら長編は後半で設定が矛盾しはじめる?を参照してください。

はじめての1作は短編がおすすめです。最初の一字から最後の一字まで書き切った経験が、どの技法よりも自分の弱点を教えてくれます。

ステップ4:構成を決めてプロットにする

よく使われる構成は3つあります。ひとつ選べば十分です。

構成分け方向いている話
起承転結起・承・転・結の4つ。山場は「転」短編、1話完結、どんでん返しのある話
三幕構成設定・対立・解決の3幕。長さはおよそ1:2:1主人公の目標と障害がはっきりした長編
ヒーローズジャーニー日常を離れ、試練で変わり、得たものを持ち帰る12段階ファンタジー、冒険、成長物語

構成を選んだら、プロットに落とします。先に結末を決め、次に必ず書きたい場面を3〜5個置き、最後に章ごとの要点に分けます。手順と見本は小説プロットの書き方5ステップ、すぐ埋められる表は小説プロット テンプレートです。

先に決めるのが苦手な人も、結末と書きたい場面を2〜3個だけは書いておきます。途中で迷ったとき、戻る場所になります。

ステップ5:視点と世界観を決める

視点:一人称は「私」「俺」で語り、読者は主人公が見て考えたことだけを知ります。三人称は「彼」「彼女」や名前で語り、ひとりの人物に寄り添う書き方(三人称一元視点)と、場面ごとに視点人物を替える書き方があります。迷ったら、一人称か三人称一元視点から始めると書きやすくなります。初心者がいちばんやりがちなのは、同じ場面の中で視点がブレることです。違いと同じ場面の書き比べは一人称と三人称の違いは?にあります。

世界観:現代ものなら、時代・場所・主人公の生活圏を決めます。ファンタジーやSFなら、話の筋に直接かかわるルールを2〜3個だけ先に決めます(例:「この町では、年に一度しか嘘をつけない」)。残りは物語が必要としたときに足します。作り方は小説の世界観はどう作る?、書き込める表は世界観設定シートのテンプレートです。

ステップ6:書き出しを書く

書き出しの役目は、まだ登場人物を知らない人に続きを読ませることです。主人公の日常が崩れる日から始め、最初の数段落で「この人が気になる」「何かが起きそう」と思わせます。出来事の途中から入る、謎を投げる、セリフや五感の描写で場面に引き込むなど、8つの型と例文は小説の書き出しのコツで解説しています。

最初の書き出しに満足できないのは普通のことです。短編や新人賞向けの原稿なら、初稿を書き終えて登場人物をよく知ってから第1話を書き直せます。書きながら公開するWeb連載は後から直しにくいので、何話か書きためて、冒頭の数話を十分に直してから公開を始めます。

ステップ7:初稿を最後まで書く

初稿の目標はひとつ、結末まで書くことです。

  • 地の文とセリフ:小説の文章は、セリフ(会話文)と、それ以外の地の文でできています。場所・動作・五感・内面を地の文で書き足すと、セリフだけでは伝わらない空気が出ます。書き方と例文は地の文とは?、セリフは小説のセリフの書き方にあります。
  • 時間と量を決める:はじめは続けられる量を選んで習慣にします(例:毎日、小さな場面をひとつ)。慣れたら増やします。長編の初稿は、時間が空くほど前に書いた内容を忘れ、熱も冷めていきます。
  • 書き終えてから直す:途中で前の話を直したくなったら「第3話を直す」とメモして、先に進みます。
  • 細部で止まったら飛ばす:情景や名前、場面のつなぎで止まったら「ここに駅までの道のり」と一行残して、次の山場を書きます。「この人物がなぜそうするのか」で止まったときは、プロットとキャラ設定に戻って動機を決めてから進みます。そこを飛ばすと、後ろが丸ごとずれます。止まる理由と7つの対処は小説が書けないときは?へ。
  • 設定は書きながら記録する:年齢、誰が何の秘密を知っているか、張った伏線を、本文に書いたその場で一か所に記録します。伏線の張り方は小説の伏線はどう張る?、長編での管理は長編小説の伏線管理です。

ステップ8:推敲して、投稿・応募する

初稿を書き終えたら数日置き、読者のつもりで読み直します。推敲は大きいところから順に見ます。

  1. 構成:どの場面も、話を進めるか登場人物の状況を変えているか。抜いても困らない場面は削るか、ほかの場面とまとめる
  2. 登場人物:主人公の選択に筋が通っているか。脇役それぞれに出てくる理由があるか
  3. 書き出しと結末:書き出しは続きを読ませるか。結末は書き出しに応えているか
  4. 文章:重複、不要な言葉、読みにくい文。声に出して読むと見つけやすい

読んでくれる人がいないときは原稿を読んでくれる人がいないとき、どうするかを、投稿サイトに出す前は小説を投稿する前の6つのチェックを参照してください。

新人賞に出す作品は、Webでの公開が「発表済み」に当たるかを先に確かめます。たとえば電撃小説大賞の募集要項では、営利目的でない個人サイトや同人誌での掲載は未発表とみなし、カクヨムでの公開も未発表扱いとしています。一方で、カクヨム以外のサイトに載せている作品は、応募期間中は掲載を取りやめるか非公開にするよう求めています。Web公開済みの作品を応募できるかどうかは賞ごとに違うので、一度でも公開した作品を出すときは、応募前にかならず公式の募集要項を確認してください。

Web小説として投稿するときの書き方

小説家になろうやカクヨムに連載するなら、紙の原稿と違う点がいくつかあります。

  • 1話の長さ:1話の文字数の上限はサイトごとに違うので、投稿前に公式の規約やヘルプを確認してください。上限に収まっていても、スマホで一度に読み切れる長さに区切ると読みやすくなります。
  • 1話ごとの区切り:各話の終わりを、答えの出ていない出来事で止めます(例:インターホンが鳴ったのに、モニターには誰も映っていない)。続きの話を開く理由になります。
  • 段落と空行:段落の頭は一字下げが基本です。そのうえで、横書きのスマホ画面向けに段落の間へ空行を入れる書き方もあります。空行の入れ方は作品全体でそろえます。
  • タイトルとあらすじ:読者が最初に見るのはタイトルとあらすじです。あらすじには主人公、物語の発端、見どころを入れます。
  • 書きため:毎日更新や週2回更新など、更新の間隔を決めてから連載を始めます。数話分の書きためがあると、間隔を守りやすくなります。

原稿の書き方:最低限そろえたい表記のルール

新人賞の原稿でもWeb投稿でも通じる、基本の表記ルールです。

  1. 段落の頭は一字下げる。「」で始まるセリフの行は下げなくてよい
  2. 「」の中の文末に句点(。)はつけない。つける場合は作品全体でそろえる
  3. **セリフの中のカギカッコは『』**を使う
  4. 三点リーダー(…)とダッシュ(―)は2つ続けて「……」「――」と書く
  5. !や?のあとに文が続くときは一字空ける。!や?で文が終わるときは句点をつけない

(参考:公募ガイド「初心者のための文章作法」)

ワープロ原稿で新人賞に応募するときは、1ページの字数×行数の指定を要項で確かめて設定します。前述の電撃小説大賞なら42字×34行です。

小説を書くコツ:初心者が先に練習したい6つ

コツやり方例
感情は行動で見せる気持ちを書くだけで終わらせず、思わずしてしまう行動を添える「彼女は緊張していた」→「彼女は、とっくに潰れたストローをまだ噛んでいた」
場面ごとに小さな目標を置くその場面で人物が何を達成したいかを決め、終わりに「できた」「失敗した」「もっと大きな問題が起きた」のどれかをはっきりさせるお金を借りに行った相手のほうが、もっと困っていた
人物に選ばせる板挟みの選択で、その人物らしさが出る友人を助けるには、十年隠してきた秘密を話すしかない
「〜と言った」を減らす「彼は怒って言った」をやめて、セリフの次の行に動作を書く。二人の掛け合いなら改行だけで話し手はわかる「勝手にしろ」の次の行に「彼は鍵を机に放った。」
具体的な言葉を選ぶ名詞と動詞を具体的にすると、場面が見える「花」→「道端のドクダミ」、「歩く」→「足を引きずって歩く」
答えは小出しにする謎の答えや人物の秘密を一度に明かさず、少しずつ見せる一章ごとに、手紙の差出人の手がかりをひとつだけ増やす

初心者がつまずきやすい7つの失敗

失敗起きること直し方
設定づくりに何か月もかけ、本文が始まらない熱が設定で尽きる話にすぐ使うルールだけ決め、残りは書きながら足す
最初の作品でいきなり大長編に挑む中盤で止まり、そのまま書かなくなる短編を1本書き上げてから長編へ
書きながら第1話を何度も直す冒頭の数話から先に進まない初稿を書き終えてから戻る
第1話で設定や経歴を長々と説明するまだ誰にも思い入れがないので、ただの情報になるまず人物に出来事を起こし、設定は会話と事件の中で少しずつ出す
主人公に欲しいものがない出来事が主人公に降りかかるだけの話になるステップ1に戻り、目標と壁を足す
同じ場面で視点が揺れる誰の考えなのか読者がわからなくなる1つの場面は1人の視点で書く
設定が前後で食い違う感想欄で指摘され、作者も元の設定を思い出せない設定を一か所にまとめ、書いたらすぐ更新する

使えるテンプレートと機能

LitMemoでは、キャラクター、世界観設定、伏線、プロットを同じ場所で管理できます。プロットの各項目にキャラクターや伏線を結びつけ、「話として展開」を押すと、その項目から新しい話ができて本文を書きはじめられます。本文の執筆中は @ を打つとキャラクターや設定を呼び出せます。小説プロット テンプレートから始める →

よくある質問

小説を書くには、まず何から始めればいいですか?
書きたい場面やアイデアをひとつ選び、「誰が、何を求め、何に阻まれるか」を一文にまとめるところから始めます。この一文が書ければ、主人公、構成、書き出しと、残りのステップを順に進められます。
プロットは必ず書かないといけませんか?
書き方は人それぞれです。先に決めたい人は章ごとのプロットまで作ってから書きはじめ、書きながら考えたい人も、結末と必ず書きたい場面を2〜3個だけは決めておくと、途中で迷ったときの戻る場所になります。長編は結末まで通したプロットがあると止まりにくくなります。
初心者は短編と長編、どちらから書くべきですか?
短編を1本書き上げてから長編に進むのがおすすめです。短編は登場人物も出来事も少なく、構想から推敲までをひと通り経験できます。一度書き切ると、自分がどのステップでつまずくかがわかります。
小説は何文字くらい書けばいいですか?
出す先の規定で決まります。過去の募集要項の例では、電撃小説大賞にカクヨムから応募する場合は長編が10万字以上15万字以内、短編が1万字以上3万字以内、カクヨムコンテストでは長編が締切までに本文10万字、短編賞が400字以上1万字以内でした。規定は回ごとに変わるので、応募する回の要項を確かめてください。
Webに投稿した小説を新人賞に応募できますか?
賞によって違います。電撃小説大賞の募集要項では、営利目的でない個人サイトや同人誌での掲載、カクヨムでの公開を未発表扱いとしています。Web公開済みの作品を応募できるかどうかは賞ごとに違うので、応募前にかならず公式の募集要項を確認してください。
文章力がなくても小説は書けますか?
書けます。読者が読み進めるのは、登場人物がこの先どうなるかを知りたいからです。話の筋を伝え、気になる人物を書くことが先で、文章は書き上げて推敲するたびに上達していきます。